<はじめに>
猛暑の夏が過ぎ、さわやかで気持ちのいい季節になりました。寝苦しさから解放され、ゆっくりと睡眠を楽しみたいのに、
●どうしても寝つかれない(入眠困難)
●夜中に目が覚めて眠れなくなる(中途覚醒)
●7時に起きるつもりなのに5時に目が覚めてしまう(早朝覚醒)
●朝起きた時にぽーっとした感じですっきりしない(熟睡障害)
という方、意外に多いのではないでしょうか? 睡眠は毎日を健康に過ごすために欠かせない生活習慣の基本中の基本です。今回は気持ちよく眠るための工夫をわかりやすくお伝えします。
<なぜヒトは夜になると眠くなるの? >
睡眠のもっとも大切な役割は、身体の司令塔の「大脳」を休ませることです。そのため体内には精巧なしくみが用意されています。すなわち、朝起きて一定の時間大脳が働くと脳幹部の松果体というところから大脳に眠くなるよう合図が送られるのです。この合図が睡眠ホルモンの「メラトニン」という物質です。
「メラトニン」の生成に関しては次のようなことが知られています。
●太陽の光が目に入るとその刺激が脳内に伝えられ、松果体に「セロトニン」という物質が作られる。
●明るい間は「セロトニン」を「メラトニン」に変える酵素が抑制されているが、暗くなるとその抑制がはずれて「メラトニン」に変わる。
●加齢により「メラトニン」の分泌は減っていく。お年寄りに「夜中に目が覚めてしまう」「朝早く目覚め、昼に眠くなる」という人が多いのはそのためと考えられている。
したがって脳内の「セロトニン」や「メラトニン」、またそれらの材料となっているアミノ酸「トリプトファン」を増やす工夫をしてみましょう。これらを成分とするサプリメントを服用するのも効果的な方法です。
<眠るための工夫・その1>
(1) 規則正しい睡眠時間を取る
睡眠のリズムは体内時計(地球の自転に合わせたリズム) によってプログラムされています。
したがってできる限り同じ時間に睡眠が取れるようにすることが大切です。不規則な睡眠は、体内時計が遅れたり進んだりして睡眠のリズムを狂わせるもととなります。
(2) 早起きをする
朝日には本来25時間にセットされている体内時計を24時間にリセットして体のリズムを整える働きがあるので早起きを心がけましょう。
(3) 昼間日光を浴びて運動する
光は「セロトニン」の生成を促進します。また、運動によっても「セロトニン」が増えることがわかっています。
(4) トリプトファンを含む食べ物を食べる
「トリプトファン」を豊富に含む食品としては、牛乳、ハチミツ、大豆、バナナなどが知られています。したがって、ハチミツ入りのホットミルクをお休み前に飲むことをお勧めします。また、肝臓を温めるとトリプトファンの合成が盛んになることが知られているので、寝る前に右上腹部(右あばら骨が途切れる付近) を中心にを温湿布やカイロなどで温めるのも効果的です。
(5) メラトニンを含む食べ物を食べる
「メラトニン」はケールやブロッコリーなどアブラナ科の植物に豊冨に含まれています。夕方以降にケールの入った青汁を飲むのもよいでしょう。また、ハープの一種セントジョンズワートは、脳内の「セロトニン」の分解を抑えて脳内の濃度を上げ、沈静や催眠効果を発揮します。
<なぜ子供は眠くなると手が温かくなるの?>
ヒトは睡眠時に自律神経の支配が交感神経から副交感神経へと
バトンタッチされます。交感神経は"昼間の神経"とか"緊張の神経"と言われ日中活動期に優位になります。これに対して副交感神経は"夜の神経"とか"リラックスの神経"と言われ、日が暮れた後優位になり、瞳孔が収縮し、血圧や脈拍が低下して眠りにつく体制が整います。子供が眠くなると手が温かくなるのもそのためです。したがって、自律神経を副交感神経優位にする工夫をしてみまし
よう。
<眠るための工夫・その2>
(1) ぬるめのお風呂にゆったり入る
就寝の1 へ・2 時間前にぬるめのお風呂に入ってリラックスすると体温が適度に上昇し、副交感神経のスイッチが入りやすくなります。この時自分に合った香りの入浴剤やバスソルトを入れると更に効果的です。熱いお湯やシャワーは逆に交感神経のスイッチを入れることになりますので注意しましょう。
(2) 短い言葉で自己暗示にかける
日常のストレスで不安や心配事をかかえ、交感神経が高ぶってなかなか眠れない人がいます。その時には
-1.リラックスした姿勢で椅子に座ったり、布団の上にあぐらをかく。
-2.目を閉じてできるだけ体の力が抜けて行くことをイメージする。
-3.ゆったりと呼吸し、心の中で「私は大丈夫」「だんだん落ち着いてくる」などできるだけ短い言葉をゆっくり繰り返す。
-4.手や足先に意識を集中し、これらが重く温かくなったと感じられたら床につくといいでしょう。
(3) 香り(アロマ) をうまく利用する
5感のうち、視覚・聴覚・味覚・触覚の刺激は新しい脳(大脳皮質) を経由してから古い脳(大脳辺縁系) に達しますが、臭覚の刺激だけは大脳辺縁系に直行します。そのため沈静効果のあるハープの香りをうまく利用すると高ぶった神経を「リラックス」や「沈静」に導き催眠に大きな効果をあげることができます。
<例> サンダルウッド、カモミール、ラベンダー、ネロリ、ペルガモットのエッセンシャルオイルを単独あるいはブレンドでティッシュに数滴しみ込ませ枕元におく。またはティーカップに熱湯を入れ、その上に数滴たらして部屋に置くと更に効果的です。
(4) 自律神経を整える食べ物を摂る
ビタミンB12:あさり、大豆、いわし、レバー、牡煩、さんま
ナイアシン:たらこ、かつお、まぐろ、レバー、落花生
<寝る前に控えること>
タバコ、熱いお風呂、激しい運動 → 交感神経を刺激します。
カフェイン、パソコン、テレビ → 大脳の活動を刺激し、寝つきを悪くします。
深酒 → 適量の飲酒は寝つきをよくしますが、過量では睡眠の質が悪化するとともに、利尿効果により中途覚醒し睡眠が妨害されてしまいます。